うつ病のお話

「あなたの『こころ』疲れていませんか?」

~1人で悩みや不安を抱えこんでいたらご相談ください!~

 コロナ禍、以前のように、気軽に、家族やお友達と一緒に外出も食事もできなくなり、少し窮屈な日々が続いています。みなさまはどのようにお過ごしでしょうか。

 

 「いろんなことを話したい」「でも、直接会うことは難しい」と、話すきっかけを逃したり、また相談のタイミングが難しく、誰にも話せなかったり、1人で思い煩う方が増えているようです。 精神的なストレスや身体的なストレスが続くと、「脳がうまく働かなくなる」ことがあります。感情や意欲を司る脳の働きに、何らかの不具合が生じることで、「うつ病」になるといわれています。

 

 「うつ病は、脳の病気」です。職場や家庭での「辛い体験や悲しい出来事」、結婚や進学、就職、昇進・昇格などの「嬉しい出来事の後」でも、うつ病になることがあります。

 また、からだの様々な病気や内科の治療薬等が原因で、うつ状態になることもわかっています。日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという研究調査報告があります。

 また、女性は男性よりも1.6倍うつ病になりやすいといわれています。 女性では、妊娠や出産、更年期などにうつ状態やうつ病になりやすいともいわれます。特に女性の生涯の中でも、出産後は心身ともにストレスがかかりやすい時期になります。母親としての役割に加え、急激なホルモンの変動が生じて、妊娠前のホルモンバランスに回復するまで、少し時間がかかることも原因の一つといわれます。更年期も、ホルモンバランスの関係で、様々な体調の変化とともに、うつ状態やうつ病を生じやすいようです。

 

 うつ病では、いろんな物事の考え方が否定的になり、「私はダメな人間だ」と感じるようになります。いつもなら、特に問題なく自分で解決できることも、「なんだか辛い」「私には出来ない」と考えてしまうようです。いつもの笑顔が消えて、表情も暗く、気持ちが落ち込みがちになります。時には、イライラし、焦る気持ちが膨らみます。症状が重くなると、「私なんか生きていてもしかたない」「消えてしまいたい」「死にたい」と思うほどの辛い気持ちが現れます。

 

 うつ病と気づく前に、からだの不調が現れることも多いようです。例えば、食欲がなくなる、食べ物の味がわからない、体重が減った、性欲がなくなった、眠れない、寝すぎる、からだがだるい、疲れやすい、疲れがとれない、頭痛、肩こり、動悸、胃の不快感、便秘や下痢、めまい、口の渇き、声がかすれるなどです。

 

 こころやからだの変化に、自分以外にも家族や友人、そうして職場の方々も気づくことがあります。例えば、表情が硬く暗い、自分を責めてばかりいる、涙もろい、仕事のスピードが遅くなった、ミスが多い、遅刻する回数が増えた、たばこの本数が増えた、アルコールの量が増えたなどがあります。

 

 もしも、周囲の方々が、このような変化に気づいた時には、「もしかしたら、本人は何か苦しんでいるのではないか」「精神的な不調を抱えてはいないか」と想いを馳せて、さりげなく声掛けをし、話を聴いてください。 また、ご自身でも「うつ病かな」と思ったら、1人で悩まずに、誰かに相談してください。話せる人が見つからない時には、いつでも相談窓口をご利用ください。

 

 うつ病と診断されたら、まずはゆっくりこころとからだを休ませることが必要です。職場から離れ、自宅でゆっくり過ごす、場合によっては、専門機関に入院をすることで早く症状を改善できることもあります。

 

 うつ病の治療には、お薬を飲む治療(薬物療法)、専門家と対話しながらこころをほぐす治療(精神療法)があります。また、散歩など軽い有酸素運動(運動療法)もうつの症状を軽減し効果があるといわれています。服薬は、副作用が最小限になるように、主治医と上手にコミュニケーションをとりながら、焦らずじっくり進めることもポイントになります。症状や治療で気になること、不安なことがあれば、忘れないようにメモに残し、受診の時にメモを見て主治医に相談してみることもお勧めです。 場合によっては、主治医以外の専門家の意見を聞いてみる「セカンドオピニオン」により、自分自身が納得のいく治療を受ける手だてになることもあります。

 

 うつ病は、かならず治る病気です。早めに専門家に相談し、しっかりこころとからだを休ませることが大切です。1人で悩みや不安を抱えこんでいたらご相談ください。